リニューアルで何が変わった? プロジェクトリーダーが語る国立歴史民俗博物館「先史・古代」展示室の見どころ更新日:2019年04月19日

1983年の開館以来初めて、展示内容を大きく見直し、2019年3月19日にリニューアルオープンを迎えた国立歴史民俗博物館(歴博)第1展示室「先史・古代」。リニューアル草案から約7年かけ、旧石器、縄文、弥生、古墳、古代の各時代の歴博の研究者たちが、何をどう展示するかを考え抜いてきました。旧石器時代のコーナーを一つのテーマとして新設したほか、展示方法にも工夫を凝らし、当時の様子をより具体的にイメージしやすい空間へと生まれ変わっています。また、これを機に高校生は入場無料になりました。新たな第1展示室の見どころを、リニューアルプロジェクトをリードした藤尾慎一郎(ふじお・しんいちろう)教授(国立歴史民俗博物館 考古研究系)に伺いました。

 

―リニューアルでこだわった点とは?

旧石器、縄文、弥生、古墳、古代という時代区分にとらわれず、時代から時代への“移行期”をしっかり描いたところです。

以前は、縄文といえば土器、弥生といえば水田といったように、各時代を象徴する展示物を前面に出した「モニュメント展示」をしていましたが、それでは移行期の流れがよくわからないというご指摘をいただいていました。そこでリニューアルでは、6つのテーマ(最終氷期に生きた人々、多様な縄文列島、水田稲作のはじまり、倭の登場、倭の前方後円墳と東アジア、古代国家と列島世界)を設け、時代の移り変わりで何が起こったのかを丁寧に解説するようにしています。

約20年前に、土器が従来の説より約3500年古く出現していたことが明らかになりました。また、歴博の先端的研究が、水田稲作も約500年さかのぼることを明らかにしました。新たな調査結果にそった歴史展示ができているのも、リニューアルで注目してほしいところですね。

また、開館時には明らかにされていなかった、日本列島を取り巻く周辺地域との国際関係にも注目。韓国の調査結果を受け、日本列島と朝鮮半島との関係をわかりやすく展示しています。さらに、本州、四国、九州が中心であった以前の展示を改め、リニューアル後は北海道や沖縄に関する展示物も幅広く取り上げています。

 

―展示方法にはどのような工夫がありますか?

ケースの中に入っていた展示物の多くを“露出展示”にすることで、より臨場感のある空間づくりにこだわりました。

83年の開館時は人を具体的に作ることを避ける傾向がありましたが、今回のリニューアルでは最終氷期の生活をリアルにイメージできるような模型を作製。模型を作ると、それがリアルであればあるほどお客様は人形の顔に注目してしまいます。本来は、道具や衣装、食べ物などに集中していただきたいので避けてきたのです。

ただ、最終氷期に人々が石器をどう使っていたのかは、石器だけを展示してもなかなかイメージできません。リニューアル後には、家族の生活を再現した模型によって、お客様が当時の様子を少しでも想像できるように工夫を凝らしました。犬や猫、ネズミなどの動物も原寸大で再現していますのでぜひ探してみてください。

―来場したお客様に、新生・第1展示室をどう楽しんでいただきたいですか?

それぞれの時代の人々が実際に見ていた景色を、皆さんも体験していただけるよう、忠実な再現にこだわりました。例えば、弥生時代に出現した金属器(青銅器や鉄器)は、錆びて発見された状態のものの隣に、当時の色、風合いの複製を展示しています。「こんなものを使っていたんだ!」と目で楽しんでいただける展示室になっていますので、ぜひじっくり時間をかけて回っていただきたいです。

また、歴史に詳しい方は、展示物の説明が記されたネームプレートにも注目を。リニューアルプロジェクトに携わった各時代の研究者たちが「何時代と記すべきか」を喧々諤々、議論してきました。「どこまでが縄文で、どこからが弥生か」という熟考の末、「縄文晩期」「弥生中期」などとさまざまな表現で時代を記しています。ちょっとマニアックな楽しみ方ですが、新たな発見に満ちているはずです。

今後、第1展示室に設けました特集展示室にて、最新の研究成果の展示も展開していきますので、ホームページでもぜひチェックしてみてください。

 

【利用案内】

国立歴史民俗博物館

開館時間:(3月~9月)9:30~17:00 / (10月~2月)9:30~16:30

※入館は閉館30分前まで

休館日 :月曜日(祝日の場合は翌平日)

入館料 :総合展示 一般600円(350円)、大学生250円(200円) / 企画展示 一般830円(560円)、大学生450円(250円)

※高校生以下は無料 ※( )内は20名以上の団体

問合せ :TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)

URL  :https://www.rekihaku.ac.jp

 

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