自然とアートが融合!貴重な美術作品を楽しめる「DIC川村記念美術館」更新日:2018年06月29日

佐倉市が誇る美術館「DIC川村記念美術館」。広大な敷地に広がる自然と、貴重なアート作品の数々を同時に楽しめる全国でも稀有な存在です。そのDIC川村記念美術館の魅力を広報の早川裕之さん、林里絵子さんにお話を伺いました。

感性を養う「対話型鑑賞」などユニークな美術教育サポートも

Q 「DIC川村記念美術館」ってどんなところ?

DIC株式会社が関連会社とともに収集した美術品を広く一般にも公開しようと、1990年5月に開館しました。佐倉市のDIC総合研究所に隣接する場所で、約3万坪の庭園内にあります。

館内には11の部屋があり、コレクションに合わせて各展示室や空間が設計されています。例えば、印象派の作品は、リビングでくつろいで見るようなイメージで、じゅうたんとソファのあるあたたかみのある部屋に飾られています。一方で大きな窓から自然光が入り、森に囲まれた中で鑑賞しているかのような開放的な部屋もありますし、アメリカ人画家のマーク・ロスコによる7点の〈シーグラム壁画〉は、作品に合わせた変形7角形の部屋に展示されています。部屋の中央のソファに座ると、シーグラム壁画に全身を包まれているかのような感覚に…。マーク・ロスコ自身が作品を手がけていた部屋の暗さに合わせて照明を落としており、目が慣れてくると、壁画に描かれた複雑な色合いが見えてくるような空間になっています。

作品の魅力を十分に引き出すとともに見る人と作品を緩やかに結び付けるにはどのような展示空間であるべきか、を考えて建てられた美術館だからこそ、1点1点の作品がその空間を含めた芸術として、お客様の記憶に残るのだと思います。

クロード・モネ
《睡蓮》
1907年

庭園には、春には10種類もの桜やクルメツツジ、梅雨はアジサイ、夏はオオガハス、ヤマユリと、季節ごとに花が咲き誇り、秋は紅葉とまた違った魅力を楽しむことができます。里山の地形を生かして作られた自然散策路は、佐倉の豊かな自然そのままを味わえます。館内に展示されているクロード・モネの「睡蓮」を見たあとに、庭園で実際の睡蓮を見ることができるなど、作品と同時に四季折々の花を味わえるのも、当美術館の大きな魅力です。

Q どんなお客様がいらっしゃるの?

休日には家族やカップルで来館される方も増えるほか、美術や建築、デザインを勉強している学生の方もよく見られます。ここ数年は、観光の一環として、美術館巡りに訪れる外国人も増え、成田空港と都心の間にある立地が「来やすくてうれしい」と喜ばれることもあります。

1年間何度でも無料で入館できる「友の会」という会員制度もあり、美術鑑賞はもちろんのこと、季節ごとにご友人を連れてお花を見に来てくださる方や、庭園を眺めながらお食事ができるレストラン「ベルヴェデーレ」でのランチを楽しむ方もいらっしゃいます。

また、小中学生たちにより美術に親しんでもらおうと「対話型鑑賞」という美術教育サポートプログラムも用意しています。これは、先生が進行役となり、1つの作品について生徒たち同士で自由に話し合うというもの。作品名や作家に関して事前情報は一切伝えず、ただ作品を前にして何が見えたか、何を感じたかを言葉にしてもらうのです。絵を見ることに正解はなく、感じることが一人ひとり違っていい、という体験をすることで、美術をより身近に楽しいものとしてとらえてほしいと思っています。このプログラムは月に1回、一般の来館者向けにも実施中。大人も子どもも、図らずも、作者が意図したメッセージを作品から読み取っていくことが多く、美術の奥深さにはっとされられます。

Q 佐倉市の魅力とは?

佐倉市は、当美術館のほか、国立歴史民俗博物館、佐倉市立美術館がある「ミュージアムの街」。人口17万人の街で、これだけ美術館があるのは珍しいのではないでしょうか。
また、佐倉ふるさと広場では、4月に「佐倉チューリップフェスタ」、7月に「風車のひまわりガーデン」、10月には「佐倉コスモスフェスタ」と、季節の花々を楽しめる「花の街」でもあります。
当庭園も含めて、「この花が咲く季節だから、佐倉に行ってみよう」と、多くの人が訪れる街にしていきたいですね。

DIC川村記念美術館

http://kawamura-museum.dic.co.jp/