親子のための遊びの学校!原っぱ大学佐倉の森で、自然の中の冒険体験更新日:2022年01月27日

 佐倉市民の森の隣接地にある「原っぱ大学 千葉佐倉の森キャンパス」。原っぱ大学は、子どもも親も感じるままに遊ぶという独自の活動方針で、子育て世代に自然の中で遊ぶ場を提供しています。

 佐倉市の印旛沼や森林など、身近な自然を活かした活動について、事業リーダーである中井祥子さんにお話を伺いました。

失敗してもいいんだよ

――原っぱ大学では、どんな活動を行っていますか?

ここでは、やりたいことをやっていいと参加者に伝えています。森に自作したピタゴラ装置やブランコで遊んだり、みんなで井戸を掘って五右衛門風呂を沸かしたり、たき火にただただ薪をくべる人もいます。

初めて参加する人は、正解・不正解が明確な社会に普段は生きていることもあり、「ここでの正しい遊び方は何?」と私を見てくる子が多いんです。でも1年後には、自分から好きなことをして過ごすようになります。

この場所のただひとつのルールは、自分と人を傷つけないこと。怪我をしない、させないことはもちろん、自分が嫌なことはやらなくていいよという意味でもあります。

また、ここは、子ども同士がけんかしてもいい場です。子どもって、大人が変に介入しなければ、けんかした5分後はケロッとして一緒に遊んでいます。子ども達は、食べて、遊んで、泣いて、けんかして、また遊んで大忙しです。

――原っぱ大学の活動の理念を教えてください。

自分でイメージして作ってみるという「正解のないモノづくり」と、「安心して失敗できる場」という価値観を大事にしています。

失敗してわかることってあるでしょう? 子どもたちも社会全体でも、失敗したらもうアウトみたいな風潮があるけど、失敗とは成功しない方法が1つわかったというだけであって、それからどうするかを考えるきっかけに過ぎません。

先日、ダンボールいかだのイベントをやりましたが、「失敗しちゃった」って大人が笑うと、子どもたちが安心する。チャレンジする大切さや、失敗って面白いと気づくのが大事です。そういう大人の姿勢って子どもにもすぐに伝わると思います。

大人だって遊びたい!

――原っぱ大学の活動に関わろうと思ったきっかけは何ですか?

以前はバリバリの仕事人間で、ルールに従って営業成績を上げるのが楽しくて、自然を全く忘れていました。

だけど娘が生まれ、水や泥んこを楽しむ感覚がフラッシュバックするようになりました。ただ、都会の公園では子どもだけが遊び、大人はスマホを見ている。あれはOK、これは駄目と親が口出しするから、子どもは大人の顔色をうかがって遊ぶ。違和感がありましたね。

そんな折に3・11が起こり、何のために会社で営業成績やノルマを追いかけているのか、疑問が浮かんできました。地に足が着く場所のほうが大事じゃないかと。それで、自分が好きだった世界と感覚を、次の子どもたちに残したいと強く思いました。

それから、日本全国の様々な団体を見て歩くようになり、「原っぱ大学」に出会いました。原っぱ大学は神奈川県逗子が本拠地ですが、実家の千葉で活動をやってみたくて、ここで事業リーダーを任せてもらうことになりました。

「私自身が遊びたかったんですよ」と微笑む中井さん

参加者の顔が変化する

――参加者のリアクションはどうですか?

子どもたちの反応もよいのですが、大人の反応がさらに良いです。以前の私のように会社人間で、自分の感情に長らく寄り添わなかったけど、たき火や物作りが本当は好きだったと気づく人が多いです。

ここに通う人たちは、1年経つと「まぁいいか」と言えるようになります。忘れ物しても「まぁいいか」。すると、もう人に迷惑かけていい場になるんですよ。「お互い様」と貸し借りが自然に生まれ、会話や新たなふれあいが生まれる。

便利な世の中でコミュニケーションが失われたと言われますが、不便な場所で共同作業を余儀なくされると、人とつながれる。そんな価値がここにはあります。

――活動のやりがいを教えてください。

私を含め、参加者さんがリラックスした顔で帰宅してくれるのがやりがいですね。

ここでは、参加者さんの成長機会になることであれば、ナイフの使用や高所作業など少々危険なことも行います。スタッフと一緒に、参加者さんが普段やらないことを楽しんでくれるのがありがたいですね。

お客様でなく、ここで好きなことを見つけ、一主催者側の顔になってくれるのがうれしいです。

夢の実現方法を探しつづけます

――この活動をどのような形で展開していきたいですか?

経験・機会の重要性を広めたいです。また、ダイバーシティを進めたいですね。いろんな世代が一緒にいる場所を作りたいです。

私の親世代の方が入ってくださると、子どもと遊ぶのも上手ですし、手があることで、親もリラックスできます。知識も豊富で色々教えていただく中で、年を重ねることへのリスペクトが生まれ、老いを前向きに捉えるようになります。

元気な方に薪割りなど一緒に楽しんで手伝ってもらえるとうれしいです。

――佐倉がもっと魅力的なまちになるために必要なものはなんでしょうか?

印旛沼がきれいになることです。私たちがきれいにしたいですね。今、森や里山のある環境の中で、さらに水が綺麗になり、水辺での遊びへの距離感が近くなれば、とても魅力的です。

水辺では副交感神経が満たされます。都会から印旛沼に来て放電し、逆に自然からのエネルギーを取り込んでほしいです。SUP(サップ、立って漕ぐボート)やカヌーを漕ぎ、いつも印旛沼で遊んでるよという家族が、たくさん現れるようになるといいですね。

非日常の空間

――森の中で家族と過ごしていかがですか?

(紺野F)大人もたき火したくて来ています。他の参加者さんに教わって、珍しいアウトドアグッズもどんどん増えてきました。みんなが同じ空間で、非日常を楽しんでいる感じです。

――お子さんの反応はどうですか?

(紺野F)やりたい放題、元気に過ごしています。砂に埋もれて遊ぶのが好きな子ですが、街なかの公園では人の目が気になり、のびのびと思う存分遊べません。ここでは大人も子どもも自由に過ごせます。子どもを怒るような事がないから、お互いカリカリしない。「どうぞ、好きにやりなよ」って言えます。

原っぱ大学で気持ちに変化があったのか、子どもは、日常生活でも「自分でやる」と行動する姿が見られるようになりました。自立心が生まれたのでしょうね。今では、自力で火起こしするんですよ!

【お問合わせ】
◆原っぱ大学千葉佐倉の森キャンパス
◆ホームページ https://harappa-daigaku.jp/program/chiba/
◆Instagram https://www.instagram.com/harappa_chiba/

【今後のイベント】
◆2022/2/19(土)20(日)26(土)27(日) :1日森の冒険遊び体験
https://harappa-daigaku.peatix.com

2022/3/20(日): ナーフバトル@原っぱ大学佐倉の森
https://forms.gle/MbGNaRq4hd6gRjMG8