佐倉で新規就農した若手農業家、「結び合い農園」丹上徹さんインタビュー更新日:2019年01月28日

就農支援に力を入れている佐倉市。必要経費の一部助成をはじめ、農地の情報提供、就農に関するアドバイスなど、佐倉の地で農業を志す人々を手厚くサポートしています。2013年に「結び合い農園」をスタートした丹上徹(たんじょうとおる)さんも、市外から新規就農した農業家のひとり。佐倉での就農を選んだ理由、目指す農業などについてお聞きしました。

実家の農家を継がず、独立の道へ

―ご実家は千葉市の農家だそうですね。そのまま継ぐ道もあったと思いますが、なぜ独立しようと思い立ったのですか?

丹上:僕が生意気だったんですよ(笑)。親と一緒にやっているといつも怒られてばかりで、おもしろくなかったし自分の未熟さもわかりました。だから家を出て勉強し直して、自分で始めることにしたんです。体を動かすことが好きで農業自体は性に合っていたので、他の仕事をする選択肢はなかったです。

―それで農業研修を経て独立されたんですね。就農の地に佐倉市を選んだのは、何か決め手があったのでしょうか。

丹上:農家が集まる忘年会のような席で、佐倉に就農して「たに農園」を経営されている谷さんという方から「佐倉はいいよ」とお聞きしたんです。佐倉市の農政課は農家を志す人に門戸を開いていて、空いている土地を教えてくれたり、地主との交渉を一緒にやってくれたり、丁寧にサポートしてくれるからって。何もない状態から農業を始める僕としては安心できるなと思いました。

その後、農政課から今の土地を紹介してもらい、ここを借りることに決めました。広さはもちろん、立地も気に入りましたね。自分でつくった野菜は自分の手で販売したいと思っていたので、車を少し走らせれば街があって人がたくさんいるこの場所は理想にぴったりでした。

―お住まいも近所ですか?

丹上:はい。最初はアパートを借りていたんですが、アパート暮らしは農業に向いていなくて…(笑)。佐倉市空き家バンクで近くにいい戸建を見つけたので、今はそこに住んでいます。

 

5反からスタートし、現在は2ヘクタールの畑を管理

―それにしても、見渡す限り畑ですね! どれくらいの広さなんですか?

丹上:僕の農園の敷地はだいたい2ヘクタールくらい。ここで50〜60種類の農作物を育てています。でも最初は5反ほどしかなかったんですよ。どれくらい育てて売れば生活できるかがわからず、半年後くらいに「これじゃ足りない」と気づいて、そこから広げていきました。

―最初につくった野菜は?

丹上:二十日大根だったかな。当初から多品目をつくる予定だったので、すぐにいろんな野菜にチャレンジしたんですが、夏野菜はうまくいったものの冬野菜がほぼ全滅…。冬野菜の作付けは夏なので、虫対策が不十分だったり、畑の準備自体が遅かったりと原因はさまざまでした。「こんな状態で続けていけるのか?」と不安になることも多々ありましたね。

―失敗を乗り越えて継続させる秘訣はありますか?

丹上:どの野菜もポイントさえ押さえればうまくいきます。そのポイントを見極めるまでが大事。1年目に失敗したところを翌年改善すると、次は別の原因が出てくるので、その翌年にまた改善する…というのを繰り返して、3〜4年目くらいでようやく全部のポイントを押さえられるまでになるイメージです。

だから、失敗を絶対に忘れないで次に活かすことが重要だと思います。1年経つとけっこう忘れてしまうので、自分がどう栽培したか、それによってどう育ったか、きちんとメモしておくことをおすすめします。

 

―この「結び合い農園」は、農業研修で出会った奥さまの亜衣さんと一緒に始められたそうですね。

丹上:はい。妻は岐阜市出身で、家が農家だったわけではないんですが、学生時代に青山ファーマーズマーケットを手伝っていて農業に興味を持ったと聞いています。僕の研修先に妻もインターンシップで来ていて知り合い、一緒に農園をやろうということになりました。

子どもができてからは農作業が難しくなったので、今は研修生が週3回、オランダからの留学生が週1回手伝いに来てくれています。息子がもう少し大きくなって手がかからなくなったら、また一緒に作業したいですね。

―農園いちばんの自信作はどの野菜ですか?

丹上:里芋かな。長期間出せるし、美味しいです。販売所での手売りなら、枝豆や落花生なんかも人気ですよ。

農業の最大のやりがいは、お客さまとのつながり

―農作物を卸すだけでなく、販売所で直接お客さまに販売していらっしゃいますが、そこにはどんなこだわりがあるのですか?

丹上:やっぱり、自分の野菜を買ってくれるお客さまとのつながりを大事にしたいんですよ。いつも足を運んでくださる方、「美味しかったよ」「いつも楽しみにしてるよ」と声をかけてくださる方、何も言わずとも毎回買ってくださる方。そういう方々をがっかりさせたくないという思いが、いい野菜をつくるモチベーションになっています。

今は佐倉市と印西市の4ヶ所で販売をしています。続けるうちにみんな顔見知りになっていって、子どもの出産祝いをいただいたり、成長を楽しみにしていただいたりと、単なる売り買いの関係ではない結びつきが生まれているのが嬉しいです。

―佐倉市の小中学校では、全校に給食の調理施設があり、栄養教諭や学校栄養職員が各校に配置されています。地元の食材を積極的にメニューに取り入れており、「結び合い農園」の農作物もそのひとつと伺いました。

丹上:3年ほど前、販売所で小学校の栄養士さんとお会いして、そのご縁で学校給食への提供を始めることになったんです。現在は月に2回食材を提供していまして、「丹上さんの里芋の煮もの」といったメニュー名をつけていただいているそうです。

授業に呼んでいただいたこともあります。お医者さんなど他の職業の方と一緒に進路についてお話ししたり、畑について紹介したり。農作業や販売で忙しくてなかなかご協力できないときもありますが、佐倉の未来を担う子どもたちに少しでも何かを感じ取ってもらえたら嬉しいですね。

 

―丹上さんが野菜づくりでいちばん大切にしていることは何ですか?

丹上:僕、「安心安全」という言葉はあまり好きじゃないんです。うちは農薬や化学肥料を使っていませんが、それは農薬がいらないくらい元気な野菜をつくりたいという思いからです。使用基準内の農薬であれば悪ではありません。ですが、農薬に関係なく外国産のものばかりを買っていれば、地域の農業は衰退してしまいます。

顔の見える地元の人が地元でつくった、美味しい野菜こそが、僕の考える「安心安全ないい野菜」。そんな野菜づくりを実現するには、畑と街が近い佐倉は理想的な場所だと思います。

丹上 徹

1986年生まれ。食べることと合気道が大好き。大学卒業後、農業研修を経て、さまざまな人の力を借りて2012年に佐倉市で新規就農。できるだけ地元で入手可能な資源を利用した土づくりを行ない、季節の野菜を少量多品目・無農薬で生産、地元に販売している。

 

結び合い農園(千葉県佐倉市小竹)

HP : http://musubiaifarm.wixsite.com/musubiaifarm

TEL : 080-5894-8582(作業中の場合は電話に出られない場合もございます)

 

販売所

<日曜> 山万ハウジングフォーラム(街ギャラリー)千葉県佐倉市ユーカリが丘3-4

10:00~12:00頃 ※対面販売しております。

<火曜>ジョイフルアスレティッククラブ 千葉県印西市牧の原2-4

11:00~15:00頃 ※対面販売しております。

<木曜>パスタ&ダイニング沙久良  染井野店千葉県佐倉市生谷1507-1

15:30~17:30 ※対面販売しております。

<木曜>フィットネスクラブウスイ 千葉県佐倉市王子台1-15-2